2013/11/01  歌手Fさんの自殺報道について思うこと 
       2012/07/26  大学生の就活自殺への対策
    
2012/02/23  駅や踏切での飛び込み自殺防止のために
    2011/07/23  震災とこころ
    2011/07/18  精神疾患による労災、過去最多
    2011/07/17  日本うつ病学会 提言




歌手Fさんの自殺報道について思うこと

 半年近く前の話になりますが、1960年代の終わりから1970年代の初めにかけて一世を風靡した歌手のFさんという方が亡くなられました。マンションからの飛び降り自殺であったのですが、波乱に満ちた人生、これまた大スターである娘さんの存在、晩年の謎多き生活など、芸能ニュースとしてはこれ以上無いくらい関心を惹きつける材料に富んでいたこともあって非常にセンセーショナルな報道が連日なされました。

 亡くなられたのは8月のある日の朝で、昼のワイドショーでは血痕の残る道路の映像とともに、現場近くにいた方の証言が流れていました。その後も連日、報道では飛び降りの状況や親族のことも含めた複雑な事情(憶測を含めた詮索)が伝えられました。4日後には娘さんがコメントを出され、Fさんが「精神の病」を患っていたことを明かし、悲しみと後悔の念を綴りました。その翌日の葬儀の際には娘さんにコメントを求めるリポーターの大きな声が響いていました。

 今回に限らず、我が国における自殺に関する報道はあまりに配慮を欠いているように思われます。まず、自殺という言葉がテレビや新聞・週刊誌、電車の中吊り広告に飛び交うというのは危険なことです。自殺の報道は模倣自殺を引き起こすということはあまり知られていないかもしれませんが、自殺のリスクのある人は気持ちとして自殺に傾くだけでなく、具体的な方法まで与えられることになるのです。

また、自殺を遂げたということについての本人のプライバシーは無視されています。人が自殺を試みるとき、政治的な抗議として焼身自殺をするような場合を除けば、自分が自殺をしたことが後に他人に知るところとなることについて覚悟している人がどれくらいいるでしょうか。おそらくそういうことを考える余裕すら無い方が多いのではないかと思います。こうした報道が大々的になされることが本人にとって不本意になることは、おそらく考慮されていないでしょう。

そして、遺された親族や友人、関係者の悲嘆への配慮が全くなされていません。どんな死に方であれ、大切な人の死に接して平静でいられる方はなかなかいないと思います。それが自殺という死に方であったとしたらどうでしょうか。更にその事実が衆人の目に晒されるとしたら、遺された人の後悔、自責はいっそう増すかもしれません。葬儀の場に押し掛けてコメントを求めるということが非常識だと感じるのは私だけではないと信じています。

 WHOは『自殺予防メディア関係者のための手引き』というものを作成しています。これは自殺という公衆衛生学上の重大問題へのメディアの影響力に鑑みて、自殺を報道する際の注意点をまとめたものです。このなかには11の原則があります。

   1. 努めて、社会に向けて自殺に関する啓発・教育を行う
   2. 自殺を、センセーショナルに扱わない。当然の行為のように扱わない。     あるいは問題解決法の一つであるかのように扱わない
   3. 自殺の報道を目立つところに掲載したり、過剰に、そして繰り返し報道    しない
   4. 自殺既遂や未遂に用いられた手段を詳しく伝えない
   5. 自殺既遂や未遂の生じた場所について、詳しい情報を伝えない
   6. 見出しの付け方には慎重を期する
   7. 写真や映像を用いることにはかなりの慎重を期する
   8. 著明な人の自殺を伝えるときには特に注意する
   9. 自殺で遺された人に対して、十分な配慮をする
   10. どこに支援を求めることができるのかということについて情報を提供す    る
   11. メディア関係者自身も、自殺に関する話題から影響を受けることを知る
    (WHO『自殺予防 メディア関係者のための手引き 2008年改訂版日本    語版』より)

 これに照らせば日本の自殺報道はすべてアウトです。メディア関係者だけでなく、こうした報道について詳しいことを求めがちな私たちの良識もまた問われるべきであると思います。




           2013/11/01  執筆者:


大学生の就活自殺への対策

この季節になると、リクルートスーツを着た学生を、私たちの大学のHキャンパスでも良く見かけます。そんながんばっているみなさんの姿を見るたびに、自分も○年前に経験した就職活動の厳しさを思い出し、応援したい気分になります。あの頃は、本当につらかった…。

きっと、就職活動の大変さ(本当は、大変なだけではなく充実感や喜びもあるとは思うのですが)は、今も○年前も変わらないと思います。連日連夜エントリーシートを作成し、何十社も説明会に行き、それでも内定をもらえるのは良くてほんの数社、人によっては一社も内定をもらえなかった…ということは、ザラにある話なのでしょう。長引く就職活動を続けるうちに、自分が本当にやりたい仕事は何なのか分からなくなる人もいるでしょう。周りの友達がどんどん内定をもらって、焦ることもあると思います。

就職活動の苦労を思うと、就職活動を苦にした若者の自殺が急増しているという事実にも、うなずける気がします。 警察庁によると、昨年の就活を原因とする自殺者は10〜20歳代が150人に上り、2007年の2.5倍に急増しているそうです。特に大学生は41人(07年比28人増)と3.2倍に増えたとのことです。

そんな大変な思いをしている人たちにぜひ見てもらいたいニュースを、先日インターネットのサイト(読売オンライン 2012年5月17日)
(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120517-OYT1T00672.htm)
で見つけました。

ニュースサイトには、就活が原因の自殺に対して、このような対策が載っていました。

[引用開始]--------------------------------------------

大阪府立大(堺市)では、窓口を訪れるのがおっくうな学生や遠隔地の保護者でも利用しやすいようにメールを利用した相談受け付けを08年度から始めた。

臨床心理士のカウンセラー1人がこれまでの4年間で、学生延べ約100人と約2300件に上るメールのやりとりをした。約3割は自殺をほのめかしていたが、これまで相談者の自殺はゼロだという。

(中略)

保護者約40人からも「帰省した子どもがふさぎ込んでいる」「口数が少なくなった」などとの相談があったという。

[引用終了]--------------------------------------------


いまや、スマートフォンやタブレット端末の利用は学生の間でとても身近なものとなっています。メールで相談できるという制度は、実際に窓口に訪れるのに比べて敷居が低く気軽に行えるものと思います。人によっては、同級生の目を気にして窓口に行きづらい学生もいるかもしれませんが、メールではそれも気にする必要がありません。

ニュースサイトにあった、100人という学生相談の数と、40人という保護者からの相談の多さが、この相談受付の便利さを物語っていると感じました。他にも同様の対策をしている大学もあるようですが、このように時代や対象に合わせた相談受付の方法が作られるのはとても良いと思います。より多くの学生が就活を無事乗り越えられることを願っています。
                                    

           2012/07/26  執筆者: 


駅や踏切での
 飛び込み自殺防止のために



先日、インターネットのニュース(2012年2月23日11時02分 読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/)で興味深い記事を見つけました。

タイトルは「『青い光の奇跡』駅や踏切での飛び込み自殺激減」というものです。飛び込み自殺防止のために、青い照明が設置されているという内容でした。
以下、ニュースの本文を引用します。


[引用開始]-------------------------------------------------

青い光の沈静効果で飛び込み自殺を減らそうと、JR水戸支社は新年度、管内25か所の駅のホームや踏切に設置している発光ダイオード(LED)の「青色照明」を54か所に倍増する。

(中略)

青色照明はJR西日本が06年12月に導入し、11年3月末までに管内の踏切など94か所に設置した。

この94か所について設置の前後で比較すると、自殺件数はおおむね半数以下に減少したという。JR東日本では、09年2月に高崎線の3駅に設置されたのが始まり。水戸支社では、まず09年1月、自殺が目立った佐貫―牛久駅間と神立―高浜駅間、内原駅近くの踏切3か所に試験的に設置。

(中略)

同支社によると、管内の人身事故は、09年が21件、10年が20件、11年が16件だった。このうち茨城県警が自殺と断定したのは、それぞれ9、14、8件だが、青色照明を設置してある駅や踏切で、自殺は1件も起きていないという。

(2012年2月23日11時02分 読売新聞)
[引用終了]-------------------------------------------------


この記事によると、効果の科学的な検証はもう少し先になるとのことでした。しかし記事を読む限りでは、青色照明はかなり効果があるという印象を受けます。

インターネットを利用して、この効果について調べてみると、以下のような記述を別のニュースサイト(http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2643085/4610550)で見つけました。
「JR東日本の広報担当者は、青色は人びとの精神状態を穏やかにする効果があるとされていると述べ、自殺防止対策とともに落書きやポイ捨てなどの軽微な犯罪を抑止する目的もあるとした。」


一見効果があるように見えるこの試みですが、今後、このようなものが本当に効果的なのか、研究していく必要があるのではないでしょうか。


写真は、京急本線の某駅にて。



           2012/05/31  執筆者: 

災とこころ


東日本大震災から4ヶ月。
先日、インターネットをみていて震災後の東北を2度訪れたという香山リカさんの対談記事(2011年7月8日 、ヨミドクター、http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/ )が目に留まりました。
香山さんは、読売新聞の記者さんとの対談の中で、以下のように述べられていました。

「皆さん、あんまり感情をあらわにしないんですね」

(中略)

「私よりもっと大変な人がいますから」ってみんな言うんですね。

「“家族の遺体が見つかっただけでもいい”とか、“もう遺体が見つからない方もいて、その方たちのほうが気の毒だ”とか。自分はまだいいほうだって、皆さん言うんですよ。“どうして私がこんな目に”とか、あんまりおっしゃらないんですね」

「精神医学とか心理学では、悲しみの経験をしたときは、その感情をきちんと自分の中で認め、悲しむときは悲しみ、泣くときは泣くということがむしろ回復を早めるんだというのが最近の定説です」

「今回は、あまりの被害の大きさと人数の多さで、皆さん我慢しているんですね。抑えていたものがいつかどういう形で出てきてしまうのか、非常に心配です」




頑張っている姿は素敵。我慢が必要な時もあるでしょう。でも、頑張りすぎないことも大切なんだと思いました。自分に、周囲の人に、“頑張ることを強制されない環境”をつくるということも、心の健康を保つために必要なことなのかもしれません。

           2011/07/23  執筆者: 




神疾患による労災、過去最多



最近のニュースをインターネットで調べていたら、2011.6.15 08:40配信の
産経ビズ(http://www.sankeibiz.jp/top.htm)に、次のようなタイトルのものがありました。
“「心の病」2年連続最多、1181人労災申請 職場の人間関係に摩擦。”
この記事の内容をかいつまんでみると、次のようになります。

[ここから]ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・対人関係のトラブルや過労から鬱病などの精神疾患にかかり、
 平成22年度に労災申請した人は、前年度より45人増の1181人。
 2年続けて過去最多。(厚生労働省のまとめによる。)
・労災認定された人も74人増えて308人で過去最多。
・厚生労働省 職業病認定対策室 は「職場でのストレスが増大しており、
 特に人間関係の摩擦が増えている」と分析している。

さらに、認定された308人について、発症の原因や引き金となった「出来事」をみると、次のようになります。(「その他」を選択した50人をのぞく。)
「仕事の内容・量に大きな変化があった」…41人(うち自殺12人)
「嫌がらせやいじめをうけた」…39人(同5人)
「悲惨な事故や災害を体験」…32人(同0人)

[ここまで]ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この記事を読み、思ったことを書きます.
ここのところ何年も前から、「ストレス社会」という言葉は耳にしますが、心の病は今もなお増加傾向にあることを数値から知りました。

しかし「職場での人間関係の悩み」や「仕事の内容・量の変化」は昔からある問題のような気もします。これが精神疾患までつながってしまう原因には、やはり、「人間関係の希薄化」(昔にくらべて飲みに行ったりしない?)や「不況によるリストラ」(リストラにおびえる、リストラを免れても残った少ない人材で大量の仕事をこなす)などがあげられるのでしょうか。
悩みがあっても、それを聞いてもらえる場所があるだけでだいぶ楽になるものです。悩みを話す相手が居ない、飲みに行って仕事のぐちをこぼす時間さえ無い、
というような状態は、つらいし、長続きしないと思います。

ちょっと私事でせんえつですが、私が以前勤めていた会社では、社員旅行は廃止になっていたものの、年数回、社内でパーティーやボーリング大会がありました。普段話さないような上司や社長とも話すことができ、なかなか良い交流の場となっていました。社内で先輩や同僚と組んでいたバンドも、いま思えば仕事の悩みのアドバイスをもらえる良い場所になっていました。
こんなふうに、(社内が難しければ社外でもいいので)いろいろ話せる場所がなるべく多くの人にあれば良いなあ、と思った次第です。

そんな訳で、あなたも、例えば会社内バンドとか、どうですか?
(楽器ができなければ歌でも手拍子でもダンスでも何でも良いですので!)


           2011/07/18  執筆者: 



本うつ病学会 提言
日本大震災で被災された方々と対策を担う方々へ


7月1日・2日に開催された、日本うつ病学会総会(大阪、白川治会長)において、「東日本大震災で被災された方々と対策を担う方々へ:一人一人を大切に、そして息の長い心の支援と体制づくりを」という提言が発表されました。
 提言では、1.被災者の皆様へ、2.支援者の皆様へ、3.報道関係の皆様へ、4.国民の皆様へ、の4つのパラグラフに分けて、メッセージを投げかけています。震災後に組織や団体が出したメッセージとしては、かなりしっかりした構造、具体的な内容に踏み込んだメッセージになっています。詳しくは実物をみていただきたいのですが(このホームページのよみものにも掲載しました)、被災者の方々には、「どうかつらいとき、苦しいときにはひとりで抱えずに助けを求めてください」と呼びかけを、そして支援者の方々に、というよりも支援のシステムづくりに関わる国などに、「息の長い、そして効果的な支援のための工夫を」と要望しています。そして報道関係者には「格段の配慮」を求め、国民全体へのメッセージとしては、「励まし一本槍ではなく、被災された方々が、助けを求めやすくなるような声掛けを」と訴えています。
 被災後、苦境に立ち向かい、頑張っている人がたくさん居られます。でもその傍らで、まだまだ動きだすことができず苦しんでおられる方もたくさん居られると思います。「がんばれ」とか、「前に前に」ばかりでは、ただただ辛くなってしまう人も少なくないと思います。この提言は、これまでの、何か一本調子だった感のある被災者への声掛けの仕方に、一石を投じたものでしたし、被災者の方々の個別性に配慮した内容であるところが意義深いと思いました。

            2011/07/17  執筆者: 





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